パルボウイルスB19によるりんご病(伝染性紅斑)について
2025年02月07日産婦人科
パルボウイルスB19によるりんご病(伝染性紅斑)について
妊娠中にパルボウイルスB19に初めて感染すると、胎盤を通過したウイルスが胎児に感染する場合があります。パルボウイルスB19のワクチンはまだ開発されていません。また母児感染を防ぐ方法も確立されていません。小児期にりんご病(伝染性紅斑)に感染したことがない妊婦さんは注意しましょう。
《パルボウイルスB19感染経路、予防》
・リンゴ病の患者さんは、リンゴ病とわかる症状(両頬が赤くなる)がでる前に、ウイルスを排出しています。感染した人の唾液・痰・鼻水の中に出てきて咳やくしゃみを吸い込んだり(飛沫感染)、飲食物の食器を共有して自分の口や鼻の粘膜にウイルスを運ぶこと(接触感染)によって感染します。家庭では、感染した人と接触した人の約50%が感染します。家庭内の感染だけではなく、地域でりんご病(伝染性紅斑)が流行している場合、小児と接触することが多い職業の方は特に注意が必要です。
・流行時期には、感染者や風邪症状のある人との接触をできるだけ減らしましょう。小児と接触することが多い職業の方は注意が必要です。
・学校や地域で流行している場合、ご家族、特にお子さんの発熱や風邪症状に注意し、食器の共有やキスをすることは避けましょう。
・ふだんから手洗い・うがい・マスクの使用を心がけましょう。
《パルボウイルスB19とは》
ヒトパルボウイルスB19は、小児に好発する伝染性紅斑いわゆるりんご病の原因ウイルスです。小児期に感染していない場合は、成人でもパルボウイルスB19に感染します。りんご病(伝染性紅斑)には周期があり、季節では春から夏にかけて4~5年の周期で流行すると言われています。
2025年から一部地域で流行が見られており、注意が必要です。
《パルボウイルスB19の感染症状について》
成人の場合、約半数は症状が出ません。小児の場合14~20日の潜伏期間後、両頬に熱感を伴う紅い発疹や体や手・足に網目状の発疹や関節痛がみられ、1週間程度で消失します。りんご病特有の皮膚症状が出現する1~2週間前に微熱や風邪のような症状がみられることがあり、この時期にウイルスの排出が最も多くなります。
《妊娠中のパルボウイルスB19に感染ついて》
妊娠中に感染した場合、ウイルスが胎盤を通過し、約20%の割合で胎児に感染を起こします。そのうち約20%に胎児貧血による胎児水腫(胎児のむくみ)がおきます。特に妊娠の早い時期の感染が問題となることが多く、胎児の症状は母体の感染から数週間のうちに出てくることが多いです。妊娠28週以降の感染による胎児水腫、死産の確率はかなり低いとされています。
《りんご病の人と接触した、または感染したかもしれないと思ったら》
大人のパルボウイルスB19感染は、症状だけでは診断が難しい場合があります。感染が疑われる場合は,医師やスタッフにお問い合わせ下さい。
天使病院産婦人科外来 2025年